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住友麻優子

【監修】 住友麻優子
/新宿デンタルオフィス院長

新宿デンタルオフィスは2006年開業の顎関節症・噛み合わせ矯正専門歯科クリニックです。長年の研究と経験に基づく理論をもとに最適な治療法をご提案いたします。

新宿デンタルオフィスは2006年開業の顎関節症・噛み合わせ矯正専門歯科クリニックです。長年の研究と経験に基づく理論をもとに最適な治療法をご提案いたします。

長時間歌うことと顎関節症の影響とは?(歌手、カラオケ、発声)


カラオケで何時間も歌った後に、顎の調子が悪くなった経験があるという方もいらっしゃるかもしれませんが、歌うことは、「顎」に大きな負担をかける可能性があります。

スポーツでも同じことが言えると思いますが、スポーツそのものは体にも精神にもよい影響を与えますが、体の使い方が悪いとケガをしやすくなったり、使い過ぎて疲労が蓄積されると痛みが発症したり、筋肉や関節、靭帯等を痛める可能性もあります。

歌うことも同じように、長時間歌っても、発声の仕方によっては、顎に負担をかけることもなく歌う事が出来れば、顎関節症の心配もありませんが、長時間歌い続けると顎関節に負担がかかる可能性も高くなります。

歌うのが好きな方はカラオケで何時間でも歌うことがあると思います。声楽・コーラス部・合唱団に所属する方は日頃の練習で長時間歌う機会が増えます。また、プロの歌手になると職業として毎日のように歌うことになります。

このような歌う機会が多い人の中には、実はすでに顎関節症を「発症している」「発症予備軍」という人は少なくありません。

長時間歌うことと顎関節症の影響について解説します。

歌っている時の顎の動き

歌っている時というのは、しゃべっているときと同様に絶えず口の開け閉めの動作を繰り返しています。鼻歌程度であれば、口を小さくしたままでも歌うことができますが、声量を上げて歌うときには、口を大きく開けたり閉めたりという動作をハイピッチでおこないます。

この口を大きく開けるという動作は、上顎と下顎を同時に動かすイメージを思い浮かべますが、上顎は下顎程動かないので、下顎の動きにより口の開閉がおこなわれます。

この口を開けるときには、顎関節内は下顎頭(下顎のてっぺんにある骨)が前方にグッと入り込んだ状態となり、口を閉めると、また元の位置位置(真ん中)に戻ります。

歌っているときというのは、このように下顎が上下と前後に頻繁に動かしている状態なのです。

歌う時に口を大きく開けるというリスク

歌う時には、普段の会話以上に口を大きく開けなくてはなりません。音楽の先生やボイストレーナーから「口を大きく開けて」と指導されます。きれいな発声には、一定以上の開口が必要になり、喉の奥を広げる感覚で歌うことが声を響かせるために大切だからです。

歌う人にとっては、声を響かせるために口を大きく開ける行為は必要です。しかし、口を大きく開けて歌っているときには、下顎の可動域の最大化を繰り返している状態ですので、顎関節や顎の周辺の筋肉に大きな負担をかけています。

つまり、歌っている時間が長くなればなるほど顎関節や顎周辺の筋肉に大きなダメージが蓄積されていくのです。

歌うことがなぜ顎関節症の原因となるのか

歌うことが顎関節症になる大きな理由が、「顎関節や関節円板への圧迫」「顎の周辺の筋肉(咀嚼筋群)や靭帯」への大きな負担です。

顎関節は左右の耳の前辺りで下顎骨と頭蓋骨を連結していますが、口を大きく開けると、強い力がこの左右2点の顎関節にかかります。また、歌うときには顎を動かす筋肉や顔の表情筋を総動員しながら、下顎を開けたり閉めたりを繰り返します。歌には歌詞があるので正しく発音するために舌も同時に動かし続けます。

つまり、長時間歌うこととは「表情筋」「咀嚼筋」「顎関節」「舌」を長時間酷使しているのです。そうすると、それぞれの機能が疲弊し、以下のような症状が発生することがあります。

・咀嚼筋痛障害(顎を動かす筋肉の痛み)
・顎関節痛障害(関節周りの組織が病的に変化し、痛みに)
・顎関節円板障害(口を開けた時に音が鳴る、口がロックされて開かない)
・変形性顎関節症(関節が変形してしまっている)

歌うことから顎関節症が発症する

このように顎へ繰り返し負担をかけることにより「関節円板」という上顎と下顎の間にあるクッションの役割を持つ繊維組織が前方にずれます。歌い続けているときは顎周辺の筋肉は筋トレを続けているような状態のため、過緊張(筋痛、炎症)となります。

このような顎への負担が続くことで「下顎がずれる」「下顎が奥に入り込む」など、顎の不調から徐々に噛み合わせが悪くなります。そうなると次第に「顎が痛む」「顎から異音がする」「口が開かない」などの顎関節症の症状が発症するのです。

また、歌う時は「歌詞を間違えないようにする」「上手に歌おうとする」ために緊張します。特にコーラス部に所属する人や職業歌手などは、練習や発表会において極度に緊張することがあります。この緊張がストレスとなって顎関節症を進行させると言われています。

顎関節症になると歌うことにどんな影響があるのか

顎関節症になると、「口が開かない」「顎が痛い」など日常生活にも支障をきたしますが、歌うことが好きな人、歌う機会が多い人にとってはさらに深刻な影響がでます。

顎をかばうあまり、口を充分に開けて歌えなくなると表情筋や舌が強張り声が出なくなります。口を大きく開けないと肺活量も抑制されるため、伸びやかな声が出なくなって声の響きが悪くなります。また、口の開きが小さいと滑舌が悪くなるため歌詞が聞き取りづらくなるという弊害も起こります。

このように顎関節症を患うと、口を大きく開けることができないため、歌うことが難しくなるのです。そして、口を開けると痛みがでるのではないかという心配から、歌う事がストレスになってしまいます。

顎関節症が進行すると歌うどころではなくなる

顎関節症が進行は歌うことだけの影響にとどまりません。顎周辺の局所的な不調が、顔面・頭部の骨を歪ませ、全身の筋肉が引っ張り合いを引き起こして、身体のあちこちに不定愁訴(ふていしゅうそ)が現れます。

代表的な症状に「頭痛」「吐き気」「めまい」「耳鳴り」「顔の歪み」「肩こり」「腰痛」などがありますが、痛みや不調から「抑うつ」「倦怠感」などのメンタル面への影響も引き起こします。

歌うことの問題だけではなく日常生活にも深刻な影響を及ぼします。

顎関節症の治療により再び歌えるように

歌うことが好きな方、職業歌手の方で、顎関節症を自覚したら、まずは「歌を休む」「歌う回数を減らす」など安静にすることが大切です。顎を酷使せずに休息を取ることによって、症状が改善に向かうことがあるからです。

しかし、顎関節症はしばらく症状がおさまっていても、再発する可能性がある病気です。再び顎を酷使したりストレスを受けることで再発する可能性は大いにあります。

顎の不調を感じたら、まずは顎関節症の専門医の受診をお薦めします。

顎関節症専門クリニックで治療を

新宿デンタルオフィスは、噛み合わせ矯正・顎関節治療の専門クリニックです。噛み合わせ治療、顎の位置を正す顎位矯正治療、筋肉を補正するPNF療法などにより、顎関節症の症状改善をご提案します。

個々の患者様の症状にあった治療計画を立て慎重かつ適切に治療を進めてまいります。また、初めてご来院される方のために予約制の初診カウンセリング(1回3~4時間)をおこなっています。「ご自身の症状を理解する」「専門医から説明を受ける」という意味でもお薦めしています。

どうぞお気軽に初診カウンセリングをお受け下さい。


2020-03-02T13:29:08+00:00