顎関節症は何科?口腔外科と噛み合わせ矯正歯科の選び方
顎が痛い、口が開けにくい、開閉のたびにカクカク音がする。こうした症状が出たとき、多くの方がまず迷うのが「何科に行けばいいのか」ということではないでしょうか。
耳の近くが痛むから耳鼻科だろうか。肩や首まで張っているから整形外科や整骨院だろうか。歯科に行くべきなのは分かっていても、一般歯科でいいのか、口腔外科なのか、矯正歯科なのか、判断がつかないまま検索を続けている方も少なくありません。
この記事では、顎関節症の症状が出たときに考えられる受診先を整理したうえで、外科的な処置に対応する口腔外科と、噛み合わせや歯並びの観点から診る矯正歯科という、それぞれの役割の違いを解説します。どちらが優れているという話ではなく、症状や治療のゴールによって適した受診先が変わります。ご自身の状況に合った科を選ぶための手がかりとして読んでいただければと思います。
1. 顎関節症で「何科に行けばいいか分からない」という悩み
顎関節症の症状は、口や顎だけにとどまりません。頭痛、耳鳴り、肩こり、首の張りといった形で現れることも多く、症状が出ている部位に合わせて受診先を選んでしまう方が少なくありません。
耳の周りが痛むために耳鼻科を受診し、そこで「耳には異常がない」と言われて次にどこへ行けばいいか分からなくなる。あるいは肩こりや首の痛みが強く、整形外科や整骨院に通っているものの、なかなか改善しないという方もいます。
これは決して珍しいことではなく、顎関節症という病名自体があまり知られていないために起こる、自然な流れといえます。実際には、顎関節症は「顎の関節や、それを動かす筋肉に何らかの異常が起きている状態」であり、根本的には歯科領域の疾患です。ただし、歯科のなかでも一般歯科・口腔外科・矯正歯科では診方や対応できる範囲が異なるため、次の章でそれぞれの選択肢を整理します。
2. 顎関節症は何科?受診先の選択肢を整理する
顎関節症の症状で受診先として名前が挙がりやすいのは、主に次の5つです。
口腔外科|顎の骨や関節そのものに外科的なアプローチが必要な場合
口腔外科は、顎の骨・関節・周辺組織を対象に、検査や外科的な処置を行う診療科です。顎関節の変形や強い炎症、外傷など、外科的な精査や処置が必要なケースでは中心的な役割を担います。
一般歯科|歯や噛み合わせの状態をまず確認する場合
かかりつけの一般歯科は、虫歯や歯周病、歯の詰め物・被せ物の状態など、口腔内全体のチェックを行う入り口として適しています。顎関節症を専門的に診ているかどうかは歯科によって異なるため、症状が続く場合は専門的に診ている歯科につないでもらうとよいでしょう。
噛み合わせ・矯正を専門とする歯科|歯並びと顎の位置から診る場合
歯並びや噛み合わせのバランスから顎関節症の原因を探り、必要に応じて矯正的なアプローチで整えていく専門歯科です。痛みを一時的に抑えるだけでなく、噛み合わせの土台から見直したいという場合の選択肢になります。
耳鼻科・整形外科・内科|他の疾患の可能性を切り分ける場合
耳鳴りやめまい、首や肩の痛みなど、顎関節症と似た症状は耳鼻科や整形外科、内科が扱う疾患でも起こり得ます。これらの科は、顎関節症以外の病気が隠れていないかを確認するうえで重要な役割を持ちます。
整骨院・整体|筋肉のこわばりをほぐしたい場合
肩や首の筋肉の緊張をほぐす施術は、一時的に症状を和らげることにつながる場合があります。ただし、噛み合わせや顎の位置そのものを診断・治療する場ではないという点は押さえておく必要があります。
3. 口腔外科とはどんな診療科か
口腔外科は、顎の骨折や顎関節の変形、腫瘍、抜歯を含む外科的な処置など、口腔・顎・顔面領域の外科的な問題に対応する診療科です。大学病院や総合病院に併設されていることも多く、精密検査や入院を伴う処置が必要な場合には欠かせない存在です。顎関節症のなかでも、関節そのものの構造的な問題や強い炎症がある状態では、口腔外科の精密な検査と処置が大きな力を発揮します。
口腔外科が扱う領域は広く、顎関節症もそのなかに含まれます。一方で、噛み合わせや歯並びのバランスから症状の背景を整えていくアプローチは、矯正歯科が専門とする領域です。そのため、噛み合わせに由来するタイプの症状では、口腔外科と噛み合わせを専門とする歯科が連携しながら診ていくことが望ましい場合があります。
つまり、口腔外科は外科的な処置が必要な場面で中心的な役割を担い、噛み合わせから整えていくアプローチはまた別の専門性として存在しています。両者はどちらかを選ぶというより、症状によっては口腔外科での検査と、噛み合わせを専門とする歯科での治療を組み合わせることが適している場合もあります。
4. 一般歯科や他科、整体を最初に選んだときに起こりやすいこと
顎関節症の症状で最初にかかりつけの一般歯科や他科、整体を受診すること自体は、決して間違った選択ではありません。ただし、噛み合わせを診ないまま治療が進んだ場合には、いくつか起こりやすいことがあります。
噛み合わせを確認しないまま抜歯や歯を削る処置に進むケース
痛みの原因を歯そのものに求め、噛み合わせの全体像を確認しないまま抜歯や歯削りに進んだ場合、かえって噛み合わせのバランスが崩れ、症状が悪化する可能性があります。痛みの原因が歯ではなく顎関節や咀嚼筋にある場合には、歯の治療だけでは十分な改善につながらないことがあります。歯そのものではなく、顎関節症が原因で歯が痛むケースもあるため、痛む部位だけで原因を判断しないことが大切です。
痛みへの対症療法だけで終わり、再発を繰り返すケース
鎮痛剤やマッサージ、マウスピースによる一時的な緩和は、痛みを和らげるうえで有効な場合があります。ただし、噛み合わせという根本の要因に手をつけないままでは、症状が落ち着いたようにみえても再発を繰り返すことがあります。
症状が長引き、複数の科を渡り歩くことになるケース
耳鼻科、整形外科、内科、整骨院と受診先を変えても改善が見られず、結果として歯科にたどり着くまでに時間がかかってしまうケースも見られます。顎関節症が頭痛や肩こりなど全身のさまざまな部位の不調として現れることを知っておくと、受診先を早く見極める助けになります。
5. 噛み合わせ・歯並びから診る矯正歯科という選択肢
当院が専門としているのは、歯並びと噛み合わせのバランスを整えることで顎関節症の改善を目指すアプローチです。痛みが出ている部分だけを診るのではなく、噛み合わせ全体のバランスや歯並びの状態から、症状の背景にある要因を確認していきます。
このアプローチは、口腔外科での外科的な処置を否定するものではありません。外科的な処置が必要な状態であれば口腔外科での治療が適していますし、そのうえで噛み合わせや歯並びの調整が必要な場合には、矯正的なアプローチが力を発揮する場面があります。両者は対立するものではなく、症状や治療のゴールに応じて補い合う関係にあります。
歯並びだけを整えることをゴールにするのではなく、噛み合わせの土台から見直したい方、他院での治療を経てもなかなか症状が改善しないと感じている方にとって、噛み合わせ・矯正を専門とする歯科は一つの選択肢になり得ます。
6. 受診先を選ぶときに確認しておきたいポイント
顎関節症はさまざまな原因が重なって起こる病気であるため、受診先を選ぶ際には、次のような点を確認しておくと安心です。
噛み合わせ・顎関節症について専門的な知識を持つ歯科医師がいるか
一般歯科・口腔外科・矯正歯科のいずれであっても、顎関節症を専門的に診てきた実績があるかどうかは、事前に確認しておきたいポイントです。
検査から治療方針の説明までを丁寧に行っているか
顎関節症は原因が一人ひとり異なるため、検査の内容や治療方針について、納得できるまで説明してもらえるかどうかも重要な確認ポイントになります。
痛みを抑えるだけで終わらず、原因に踏み込んだ説明があるか
対症療法か、噛み合わせなど根本の要因まで含めた治療かによって、その後の経過は変わってくる可能性があります。どちらのアプローチを希望するのかを自分自身で整理しておくことも大切です。
7. 早めに相談したほうがよい症状・状況
次のような症状や状況がある場合は、様子を見すぎずに早めの受診を検討することをおすすめします。
口が大きく開けられない、または急に開かなくなった
顎の痛みとともに、しびれや強い腫れをともなう
硬いものが噛めない状態が続いている
頭痛・耳鳴り・肩こりなどが長期間続いており、原因が分からない
一般歯科や他科で相談したが改善が見られない
なお、しびれや強い腫れ、急激な症状の悪化がある場合は、顎関節症以外の疾患が隠れている可能性もあります。自己判断で様子を見続けず、速やかに医療機関を受診してください。
8. よくある質問
顎関節症は結局何科が正解ですか
症状や治療のゴールによって適した受診先は変わります。外科的な処置が必要な状態であれば口腔外科、噛み合わせや歯並びから根本的に整えたい場合は噛み合わせ・矯正を専門とする歯科が選択肢になります。まずは歯科領域の疾患であることを踏まえたうえで、症状に応じて選ぶことが大切です。
口腔外科と噛み合わせを専門とする歯科では何が違いますか
口腔外科は顎の骨や関節に対する外科的な検査・処置を中心に担う診療科です。噛み合わせを専門とする歯科は、歯並びと噛み合わせのバランスを整えることで症状の改善を目指すアプローチを担います。どちらか一方を選ぶというより、症状に応じて組み合わせることが適している場合もあります。
子どもの顎関節症は何科に相談すればいいですか
お子さまの場合も基本的な考え方は同じですが、成長段階にあることを踏まえた診方が必要になります。まずは小児歯科または顎関節症を診ている歯科に相談し、必要に応じて専門的な検査につなげてもらうとよいでしょう。
痛みが強いときはどうすればいいですか
強い痛みが続く場合や、口が開けにくい状態が急に悪化した場合は、自己判断で様子を見ず、早めに歯科または医療機関を受診してください。しびれをともなう場合など、顎関節症以外の疾患が隠れている可能性がある症状については、速やかな受診が必要です。
顎関節症の受診先に迷ったときは、まずはお気軽にご相談ください。ご予約は当院の予約カレンダーより承っております。LINEでのご相談も可能です。
当院の特徴
顎関節症は、噛み合わせだけでなく、姿勢や首・肩の筋肉の緊張、身体全体のバランスが関係している場合があります。当院では、鍼灸院を併設しており、顎関節や噛み合わせだけでなく、姿勢や全身の筋肉のバランスまで総合的に確認できることが特徴です。顎関節症は顎だけでなく、首・肩・背中などの筋肉の緊張や身体全体のバランスが関係している場合もあるため、歯科医師と鍼灸師が連携し、多角的な視点から原因を評価し、患者さま一人ひとりに適した治療方針をご提案しています。
こんな方はぜひご相談ください
✓ 何科へ行けばいいか分からない
✓ マウスピースを作ったが改善しない
✓ 耳鼻科では異常なしと言われた
✓ 顔のゆがみも気になる
✓ 歯並びも治したい
✓ 他院で様子を見ましょうと言われた
✓ 原因から調べてほしい
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