噛み合わせから生じる、頭痛、腰痛、肩こり、耳鳴り
噛み合わせが悪くなることにより、全身に様々な不調が起こります。特に低位咬合(ディープバイト)と呼ばれる、噛み合わせが低い状態になると、「頭痛」「腰痛」「肩こり」「耳鳴り」などの症状が発生しやすくなります。
噛み合わせによって生じる、全身症状の原因と理由について解説します。
顎がシーソーする!?
左右どちらかの噛み合わせの高さが不足すると、顎関節に負担がかかり、一方の下顎がシーソーして歪みます。 そして、シーソーして上に入り込んだ下顎の顆頭(かとう)と呼ばれる下顎骨の上部にある楕円状の突起が、クッションの役割をする関節円盤を圧迫します。
圧迫が続き、関節円盤が脱離すると「顎がカクカク・ジャリジャリ」と鳴る状態になります。それが長期に及ぶと、今度は下顎の顆頭が削れて変形することになります。
顔の歪み・体の歪みにより、頭痛、腰痛、肩こり、耳鳴りが起こる
下顎がシーソーすると、顔や頭を構成する15種23個の骨にも影響し「顔の歪」「体の歪み」が引き起こされます。 また、上に入り込んだ下顎は、側頭骨を圧迫し、関節、筋肉の 過緊張を起こします。
やがて、頚椎も歪み頭も傾きはじめます。それをカバーしようとするため身体全体が歪んでいきます。これにより、「頭痛」「腰痛」「肩こり」「耳鳴り」などが発症することになります。

右の噛み合わせが低く、筋肉が収縮して顔が歪んでいる。

顎の入り込みの違いにより、様々な身体の歪みが出てくる。
耳鳴りの原因は低位咬合!?
耳鳴りの原因は様々ですが、耳そのものに異常がない場合は、解剖学的に耳のすぐ前にある顎関節の問題で耳鳴りが起きていることが考えられます。特に、臼歯部の低位咬合が原因で、下顎の内側から側頭骨を引っ張る靭帯が過度な緊張を起こしていると考えられます。
また、頚椎の歪みや圧迫、首や肩のこりによって起こる耳鳴りも、噛み合わせが関与していると言えます。

下の前歯が見えない!?
臼歯(奥歯)の歯の長さが短く、上の歯が下の歯を覆って、下の歯が見えない状態のことをディープバイト(低位咬合)と言います。 噛み合わせが低いと、顎周辺の筋肉、頭部、頸部など全身の筋肉の収縮が強くなります。
歯の低位によって、歪んだ側頭骨の影響は、仙骨に伝わり骨盤を歪めます。脳からの指令でバランスを取ろうとするため、過度に負担がかかった部位の関節や筋肉が過緊張を起こし、「首のこり」「肩こり」「腰痛」の原因 になります。 さらに、顎が前に突き出た状態になり、猫背で腰を落とした姿勢になりやすく、骨盤も低下します。
足の左右差を感じるようになったり、膝に痛みが出ることもあります。 また、顎関節付近には耳も隣接しているので、歯の低位によって顎関節が圧迫され耳鳴りが起こることもあります。 臼歯(奥歯)の低位によって、下顎が後方で安定してしまい、「息苦しさ」を感じる症状が出ることもあります。


顎が回転して体が捻じれることで起きる全身症状
顎が入り込むと、シーソーする歪みだけではなく、捻れて回転するような歪み方をする場合があります。 顎が回転すると、体も一緒に捻れてしまいます。 また、左の噛み合わせが低位で、顎がシーソーして左に歪んでいる場合には、左に回転した歪みが出るケースや逆に右に回転して捻じれるケースがあります。
顎が捻れた状態になると、「舌が歯の内側に当たって気になる」「しゃべり辛い」「飲み込みにくい」「喉に違和感がある」「体の捻じれ感」「肩や骨盤の捻れ感」、などの症状が出ることがあります。このように複合型の顎の歪みは単純ではありません。
顎が「シーソーして、回転して、引っ込む」など、様々な歪みが同時に起こるケースもあります。 顎を動かす筋肉(咬筋、外側翼突筋、内側翼突筋、側頭筋)は 、噛み癖によっても、左右の強さに差がでます。 また、顎も体も歪みに対して、他の部位を緊張させたり、捻じったりしてバランスをとろうとするため、顎と体の歪みの状態を正しく診断することは重要になります。




ディープバイト(低位咬合)の噛み合わせで困ったら専門医へ
噛み合わせの悪化は、「頭痛」「腰痛」「肩こり」「耳鳴り」だけではなく、様々な全身症状が引き起こされることをご理解いただけたと思います。特にディープバイトになると、重い顎関節症を発症する可能性が高くなりますので注意が必要です。
噛み合わせによる各種症状でお悩みでしたら、顎関節症の専門医である新宿デンタルオフィスまでお気軽にご相談下さい。