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インビザライン

インビザラインで顎関節症は治る?注意したい3つのパターンと治療の順序

住友麻優子

【監修】 住友麻優子
/新宿デンタルオフィス院長

新宿デンタルオフィスは2006年開業の顎関節症・噛み合わせ矯正専門歯科クリニックです。
審美性だけでなく、よい噛み合わせに仕上げるインビザライン矯正をご提案いたします。

新宿デンタルオフィスは2006年開業の顎関節症・噛み合わせ矯正専門歯科クリニックです。
審美性だけでなく、よい噛み合わせに仕上げるインビザライン矯正をご提案いたします。

顎関節症の症状を抱えながら歯並びも気になっている場合、インビザラインで両方まとめて改善できるのではないかと考える方は少なくありません。実際、マウスピースを使った矯正は目立ちにくく、通院の負担も比較的少ないため、顎関節症の治療と並行して検討しやすい選択肢に見えます。

ただ、インビザラインはもともと歯並びを整えるための矯正装置として設計されており、顎関節症そのものへの対処を主な目的とした治療法ではありません。歯を動かすことだけを目標に計画を進めると、噛み合わせの乱れが解消されないまま残ってしまうことや、かえって顎まわりの負担が増してしまうことがあります。

この記事では、インビザラインと顎関節症の関係、治療を進めるなかで症状が強く出ることがあるパターン、そして噛み合わせを整えてから歯を並べるという治療の順序について整理します。

インビザラインで顎関節症は治るのか

インビザラインを使った矯正によって顎関節症の症状が和らぐケースはあります。歯並びや噛み合わせのバランスが整うことで、顎関節や周辺の筋肉にかかっていた負担が軽くなる場合があるためです。

一方で、インビザラインを使えば顎関節症が必ず改善するとは言い切れません。顎関節症の背景には、噛み合わせだけでなく、顎関節そのものの状態や筋肉の緊張、生活習慣など複数の要因が関わっていることが多く、歯並びを整えるだけでは解決しない部分が残ることもあります。

歯並びを整えることと、噛み合わせや顎の状態を整えることは、似ているようで目的が異なる作業です。インビザラインを検討する際は、この違いを踏まえたうえで、自分の症状にどこまで対応できる治療なのかを確認しておくことが大切になります。

顎関節症の症状として、口を開けたときの音や痛み、開きにくさなどを自覚している方もいれば、症状ははっきりしないものの、写真を見て顔の左右差が気になり、顎関節が関係しているのではないかと感じている方もいます。どちらの場合であっても、インビザラインを検討する前に、自分の噛み合わせや顎関節がどのような状態にあるのかを把握しておくことが、治療方針を考えるうえでの出発点になります。

特に、以前から顎関節に違和感があった方や、歯並びの矯正だけでなく顔の歪みや噛み合わせのバランスも気になっている方は、歯並びを整えるだけの治療計画では物足りなさを感じることがあります。歯を並べるという結果だけでなく、その過程で噛み合わせや顎関節にどう配慮されるかという点まで含めて、治療内容を確認しておくと安心につながります。

インビザラインが顎関節症に対して持つ役割と限界

インビザラインの治療計画は、専用のソフトウェアが歯の動きをシミュレーションして作成します。この設計は歯並びをきれいに並べることを主な目的として組まれることが多く、一人ひとり異なる顎関節の状態や筋肉のつき方までを十分に反映しきれない場合があります。

歯並びを整えることと噛み合わせを整えることの違い

歯並びが整うというのは、見た目として歯が均等に並んだ状態を指します。これに対して噛み合わせが整うというのは、上下の歯が顎関節にとって負担の少ない位置でしっかり噛み合っている状態を指し、両者は必ずしも一致しません。歯並びだけを目標にして矯正を進めると、見た目はきれいになっても、噛んだときの当たり方や顎関節への負担は改善されないまま残ることがあります。

顎関節症がある状態での矯正で意識したいこと

もともと顎関節に症状がある場合、歯を動かしている途中で噛み合わせのバランスが一時的に変化し、症状に影響が出ることもあります。そのため、顎関節症のある方がインビザラインを検討する際は、歯並びだけでなく噛み合わせや顎関節の状態を確認しながら治療を進めてくれるかどうかが、一つの目安になります。

カウンセリングの段階で、顎関節の状態や噛み合わせの検査を行うかどうか、歯並びが整った後の噛み合わせの見通しをどのように説明してくれるかを聞いておくと、治療計画の考え方を把握しやすくなります。歯並びのシミュレーション画像だけを見せられて終わるのではなく、噛み合わせの変化についても説明があるかどうかは、一つの判断材料になります。

症状が悪化する可能性がある3つのパターン

インビザラインでの矯正が顎関節症の悪化につながる可能性がある場面には、いくつかの共通点があります。ここでは代表的な3つのパターンを整理します。

パターン1|噛み合わせを確認せずに歯並びだけを目標に進めるケース

歯並びを整えることだけをゴールに設定し、噛み合わせの当たり方や顎関節の状態を確認しないまま治療を進めると、歯は並んでも噛み合わせのバランスが崩れたままになる可能性があります。特に、もともと左右の噛む力に差があった場合、その差を残したまま歯を動かしてしまうと、顎関節や周辺の筋肉への負担が変わらない、あるいは強まってしまうことがあります。

パターン2|顎関節症の症状があるまま治療を開始してしまうケース

強い痛みや開口障害など顎関節症の症状が出ている状態で、その症状への対応を後回しにして歯列矯正を先に進めてしまうと、歯が動く過程で噛み合わせがさらに不安定になり、症状が強くなってしまう可能性があります。顎関節に負担がかかっている状態は、まず落ち着かせてから歯を動かし始めるほうが望ましいと考えられます。

パターン3|装着時間の不足や自己判断による中断が続くケース

インビザラインは1日20時間以上の装着がすすめられることが一般的ですが、装着時間が不足すると計画どおりに歯が動かず、噛み合わせが定まらない状態が長く続くことがあります。痛みや違和感を理由に自己判断でマウスピースの使用を中断したり、通院の間隔を大きく空けたりすることも、噛み合わせが不安定なまま経過する原因になりやすい点として注意したいところです。

これら3つのパターンに共通しているのは、噛み合わせや顎関節の状態を確認しないまま、歯並びを整えることだけを優先して治療が進んでしまう点です。いずれも症状が出てから気づくことが多いため、治療の途中で違和感を覚えたときに相談できる体制があるかどうかも、あらかじめ確認しておきたい点です。

なぜ噛み合わせを整えてから歯を並べる順序が必要なのか

歯は、その時点の噛み合わせの位置を基準にして動いていきます。噛み合わせが本来と異なる状態のまま歯列矯正を始めると、その乱れた噛み合わせに合わせて歯が並んでしまい、結果として顎関節への負担が解消されないまま矯正が終わってしまうことがあります。

そのため当院では、噛み合わせや顎の位置を先に確認し、必要であれば整えたうえでインビザラインによる歯列の矯正に進むという順序を大切にしています。土台となる噛み合わせが安定した状態で歯を動かすことで、歯並びと同時に噛み合わせのバランスも整えやすくなると考えているためです。

これは歯並びを後回しにするという意味ではありません。歯並びと噛み合わせのどちらも改善を目指す治療だからこそ、どちらを先に確認し、どのような順序で進めるかが重要になるという考え方です。

順序を意識せずに治療を始めてしまうと、歯並びが整った後になって噛み合わせの違和感に気づき、そこから改めて噛み合わせを整える治療が必要になることもあります。結果として治療期間が長引いたり、費用の負担が増えたりする可能性もあるため、最初の診断の段階で噛み合わせの状態を確認しておくことには意味があります。

噛み合わせを確認しながら進める治療の流れ

当院でインビザラインと顎関節症治療を組み合わせて進める場合、大まかに次のような流れで治療を検討します。

まず、CTによる撮影や、上下の歯の噛み合わせを再現する装置(咬合器)を用いた検査で、現在の噛み合わせや顎関節の状態を立体的に確認します。歯並びだけでなく、顎関節にどの程度の負担がかかっているか、左右差がないかといった点も含めて診断する段階です。

検査の結果、噛み合わせの乱れや顎関節への負担が大きいと判断された場合は、取り外し式の装置を使って噛み合わせを整える期間を設けることがあります。夜間を中心に装着する装置で、顎関節や周辺の筋肉への負担を段階的に軽くしていくことを目的とした方法です。

噛み合わせが落ち着いてきた段階で、インビザラインによる歯列矯正へと進みます。整えた噛み合わせを基準にして歯の動きを3Dで計画するため、歯並びと噛み合わせの両方を並行して整えていきやすくなると考えています。

なお、症状の程度や噛み合わせの状態によっては、噛み合わせを整える期間を設けずにインビザラインから治療を始められる場合もあります。どの順序が適しているかは、検査の結果をもとに個別に判断することになります。

治療の途中でも、定期的な通院のたびに噛み合わせの状態を確認しながら計画を調整していきます。歯の動きだけでなく、噛んだときの当たり方や顎関節の様子を都度チェックすることで、途中で違和感が出た場合にも早い段階で対応しやすくなります。

口腔外科との関係をどう考えればよいか

顎関節症の相談先として、口腔外科を思い浮かべる方もいます。口腔外科は、顎の骨折や変形、炎症、腫瘍、抜歯などの外科的な処置を中心的に担う診療科です。

これに対して、噛み合わせや歯並びを整える立場から顎関節症にアプローチするのは、矯正歯科の領域になります。どちらが優れているというものではなく、症状の内容によっては両方の視点を組み合わせたほうがよいケースもあります。たとえば、骨格そのものに関わる状態であれば口腔外科的な処置が必要になることもあれば、噛み合わせのバランスが症状に関わっていると考えられる場合は、矯正の視点からのアプローチが中心になることもあります。

自分の症状がどちらの視点で対応すべきものかを見極めるためにも、まずは噛み合わせと顎関節の状態を丁寧に検査してもらうことが手がかりになります。骨格的な状態が関わっていると考えられる場合には、口腔外科と連携しながら治療を進めることもあります。

治療中に注意したい症状

インビザラインでの治療中に、顎関節まわりの違和感や軽い痛みが出ること自体は珍しくありません。新しいマウスピースに交換した直後を中心に、噛み合わせが変化していく過程で一時的な違和感が出ることがあるためです。

一方で、次のような症状が出た場合は、様子を見続けず速やかに医療機関を受診してください。

急に強い痛みや腫れが出てきた

口が大きく開けられない、または急に開かなくなった

しびれをともなう

顎の音とあわせて、はっきりとした痛みが続いている

これらは噛み合わせの一時的な変化だけでは説明がつかない可能性がある症状です。自己判断で経過を見続けるのではなく、担当の歯科医師、あるいは必要に応じて医療機関に早めに相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. インビザラインだけで顎関節症は治りますか

歯並びや噛み合わせが整うことで顎関節症の症状が和らぐケースはありますが、インビザラインだけで顎関節症のすべての要因に対応できるとは限りません。噛み合わせや顎関節の状態を確認しながら治療方針を決めることが大切です。

Q2. 顎関節症があるとインビザラインは受けられませんか

顎関節症があるからといってインビザラインを受けられないわけではありません。ただし、症状の程度によっては噛み合わせを整える期間を先に設けたほうがよい場合もあるため、検査の結果をもとに治療の順序を検討することになります。

Q3. マウスピース矯正とワイヤー矯正、顎関節症にはどちらが向いていますか

どちらが向いているかは、噛み合わせや顎関節の状態、歯並びの状態によって異なります。マウスピース矯正は取り外しができる分、力の加減を調整しやすいという特徴がありますが、症状によってはワイヤー矯正のほうが適している場合もあり、一概にどちらがよいとは言えません。

Q4. 他院でインビザライン治療中でも相談できますか

現在通っている歯科医院以外での相談を希望する場合は、セカンドオピニオンとして噛み合わせや顎関節の状態を確認してもらうという選択肢もあります。気になる症状がある場合は、まず現在の治療を担当している歯科医師に伝えたうえで、必要に応じて他院への相談も検討するとよいでしょう。

インビザラインと顎関節症の治療をあわせて検討したい方は、噛み合わせと顎関節の状態を確認したうえで治療の順序を考えることをおすすめします。ご予約は当院の予約カレンダーより承っております。